グレース幼稚園

思い出の価値 園児数:95名

屋外遊戯場と連続するデッキ

園舎、階段、高木、遊具などで屋外遊戯場を囲む抱擁感のある間取りです。

小さな居場所を保障する

保育室の大空間とセットで、収納下の小部屋を用意しました。

外観

残置した旧園舎時代の桜の木が心地よい日陰をつくり出します。

思い出のステンドグラス

旧園舎に使われていたステンドグラス調のガラス絵を階段へ移設しました。

畳の下は…

限られた敷地での収納の不足を床下収納庫でカバーしています。


思い出の価値

「そないに、たいしたもんではないんですけどね。」と、園長は少し遠慮気味に仰いました。旧園舎の踊り場に掲げられていた、アクリル板に描かれたステンドグラス調の絵は、再び新園舎の踊り場を彩っています。


園舎の建て替えは、卒園生の生きた記憶や楽しかった思い出を、重機で破壊することにほかなりません。学びの起点ともいえる幼稚園は、卒園生がいつでも戻ってこられる場所でありたいですね。そして、戻る意味のある場所であってほしいと思います。だから、園舎建替えの依頼を受けると、新園舎へ移設できそうな、思い出の品を探し回ることが習慣になっています。


本物のステンドグラスのように、物質的に「たいしたもの」ではなくとも、その一つ一つに宿る思い出は、本物のステンドグラスの幾倍も輝いているはずです。


遠慮する必要は微塵もありません。過ぎ去った時間や懐かしい思い出は、いくら工事費を積んでも造ることはできないのです。


名称:大阪キリスト教短期大学附属 グレース幼稚園

工事種別:新築

建築場所:大阪市阿倍野区

延床面積:665.95㎡

構造・規模:鉄骨造 地上2階

園児数:95名

園ホームページ:グレース幼稚園|学校法人 大阪キリスト教学院 大阪キリスト教短期大学付属

掲載:『建築ジャーナル』2018年12月号(こども施設特集)