エンゼルキッズ多田

高さより低さをだいじに 園児数40名 

小さく見せる

できるだけ小さく見えるように軒を低くしています。学園カラーの緑のストライプが映える外観です。

大樹のほーる

玄関の真ん中にそびえるのは、カラフルな飾りつけに彩られたカイヅカイブキの巨木。 

たたみこーなー

階段の踊り場下は、和紙製畳敷きの小さなコーナーです。天井高はおよそ1.8m。午睡終わりのこどもたちのあそび場としても機能する、サブ保育スペースです。事務室とは窓でつながっているので安心。 

2歳児保育室

活動的な部屋として天井を高くしました。続き間の天井高2.1mの一時保育室や、押し入れ下のかくれがと組み合わせて、保育プログラムに応じた使い分けができます。 

かくれが

2歳児保育室に付属するかくれがは、出窓形式の畳の小空間。天井高はおよそ1m


高さより低さをだいじに

足場がばれた日、通りがかりの子どもに、「このおうち、2階ないのん?」と尋ねられました。ちいさくあること。森友学園が運営する保育園舎に通底する思想です。彼らの生活の場に、施設的大空間はそぐいません。2階建て園舎の北側部分を一層とし、切妻屋根を二層部分から葺き降ろして軒を下げ、全体のボリューム感を抑えました。彼の目には、平屋建てに映ったようです。1階は垂れ壁のないハイサッシを用いて抜けを確保したうえで、面積上、防煙区画が不要なため、天井高を2250mmに抑えました。2階のボールト天井は、水下を1825mmまで下げています。解放感と抱擁感を同時に感じられるようにするためです。さらに階段や押し入れの下に、天井の低い畳敷きのかくれがを、第二の居場所として付け加えました。もえしろ設計による準耐火構造、ベビーカーでの登園にやさしい玄関の自動ドア、IH加熱機器を使った熱の籠りにくい厨房、パススルーおむつ棚、そして「本物」の材料など、これまで同法人の系列園で蓄積してきた様々な建築的工夫を継承したほか、夜間電力利用の蓄熱式床暖房を加え、やさしいタッチのウォールペイントが保育室に彩りを添えました。待機児解消が優先され、弾力化運営が常態化する中で、数合わせの施設づくりではなく、長時間保育のなかで暮らすこどもたちの生活の場の向上を求め、学校法人の考えた保育所です。わたしたちは、量的整備を優先する時代を、そろそろ終えるべきではないでしょうか。 


名称  :学校法人森友学園 エンゼルキッズ多田

工事種別:新築

建築場所:兵庫県川西市

延床面積:326.28㎡

構造規模:木造 地上2階

園児数 :40名